照射スパイス、最近の動き

里見宏 照射食品反対連絡会世話人

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  ●原子力委員会が原子力政策大綱で食品への放射線照射を推進して、それを受けて全日本スパイス協会(27社)が94種類のスパイスへの照射を厚労省に要請しました(2000年)。それに消費者が反対してもう13年が経ちます。膠着状態になり、スパイス会社も照射をあきらめているのではと、反対連絡会から各社に問合わせをしました。ところが出しゃばったスパイス協会から「会員各社が直接意見を申しあげるのは不適切と考え、回答を控えさせていただきたい」という返事がきました。しかし、こうした協会の縛りがあっても数社から「殺菌技術の向上で照射は必要ない」という返事が来ました。実は厚労省の各社への聞き取り調査でも「照射に替わる方法がある。照射でなくともよい」という回答でした。子どもが好きな「カレーが危ない」という反対連絡会の呼びかけをスパイス会社もようやく深刻に受け止めたようです。

●照射食品は米陸軍が研究開発してきたものです。しかし、1968年、突然米軍は照射食品から全面撤退しました。このとき多くのデータがマル秘とされました。このデータを厚労省の研究機関が3年間かけて調査し「照射した食品から、2から3倍の放射線が出るようになる」という新事実を2007年に報告しました。
(X線並びにγ線を照射した食品に生じる誘導放射能 Bull.Natl.Inst.Health Sci.,125,107-118 (2007)

●日本は照射食品で「原発」アレルギーを減らせると、1972年に北海道の士幌農協に照射ジャガイモの許可を与えました。しかし、そう簡単に広がりません。照射には多くの問題があるからです。「照射で食品中に発がん物質ができる(アルキルシクロブタノン)」「照射した食品から放射線がでる」「照射しなくても菌を抑える方法がある」「消費者に利益がない」「多くの国が照射食品から手を引き始めている」「動物実験で照射食品を与えた群は生殖器の異常や奇形や死亡率の増加が認められている」などです。照射食品は食の安全条件を満たしていないのです。

●日本政府は今年10月、原子力政策大綱の廃止を決めました。これで国策だと強引に進められてきた照射の根拠が無くなったのです。今がスパイス会社に照射をあきらめさせるチャンスです。全国の消費者の皆さん、スパイス会社に照射をやめるように働きかけてください。

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