照射食品反対連絡会 |
代表世話人 | 和田 正江(主婦連合会) |
同 | 飛田 恵理子(東京都地域婦人団体連盟) |
同 | 富山 洋子(日本消費者連盟) |
同 | 里見 宏 (食品照射ネットワーク) |
スパイスへの放射線照射をやめてください
2000年12月、貴社が会員となる全日本スパイス協会は厚生労働省にスパイスへの放射線照射を要請しました。しかし、厚生労働省は消費者の反対や諸々の社会的状況からか照射については動きが見られませんでした。
しかし、2006年10月、原子力委員会は「食品への放射線照射について」をまとめ、特にスパイスへの放射線照射を優先的に解禁するように厚生労働省に要請しました。
私たちが驚いたのは、原子力委員会と全日本スパイス協会が協力して、少量だが広く使われるスパイスの特性を利用して、照射食品を拡大しようという世界戦略を展開しだしたことです。
厚生労働省は照射食品解禁の通知に、血税3千万円をかけ委託調査を行い、薬事・食品衛生審議会において「科学的知見が不足している以下の事項について、関係者に情報の収集を要請する」と下のようにまとめました。(薬事・食品衛生審議会10年5月18日)
●「アルキルシクロブタノン類に関する科学的知見の収集等」について
「科学的知見が不足しているとされる以下の事項について、関係者に情報の収集を要請する。」とし、照射食品中のアルキルシクロブタノン類の生成量及びその推定暴露量。・アルキルシクロブタノン類の毒性(特に、遺伝毒性、発がんプロモーション作用)。
●「 消費者の理解」ついて
原子力委員会に対し、国民との相互理解を一層進めるためのさらなる取組を要請する。
照射によってできる「2-アルキルシクロブタノン類」については強く毒性が疑われているにもかかわらず「慢性毒性実験」も「発がん性実験」もありません。厚生労働省も全日本スパイス協会に2-アルキルシクロブタノン類の毒性データの追加提出を通知しています。
一部に古田雅一大阪府立大学准教授らが行なっている「アルキルシクロブタノン類を指標とした照射食品の安全性解析(新たな危害要因の予測や新しい健康影響評価手法に関する研究領域)」が安全性の根拠データとなるといわれていますが、この研究は内容を見ればタイトルと違い安全性を確認できるものではありません。スパイス業界がこのデータで厚生労働省が要請した資料の条件を満たせると考えているのであれば大きな間違いです。また、これ以外にも厚生労働省報告書には問題が指摘されており、照射食品の安全性を国民が納得できる状況はありません。
厚生労働省は、全日本スパイス協会に会員各社がまだ「照射」を求めているかの再確認を要請しています。貴社が本当に照射したいと考えているなら、あまりにも社会のニーズを無視したものです。厚生労働省の食品業界の調査でも照射食品に賛成する企業は多くありません。照射スパイス推進に多くの消費者は不快感を持っております。どのような方法をもってしても食品への放射線照射に国民は賛成しないことが私たちの調査でも明らかになっています。
杜撰な報告書をもとに、厚生労働省に解禁要請した原子力委員会委員、食品照射専門部会、原子力関係団体、全日本スパイス協会の責任が大きく問われます。
今後、私たちは全国の消費者および消費者団体、生協、学校給食関係者、食品業者、食品流通業者など多くの関係者に照射食品の反対と、原子力委員会と全日本スパイス協会に所属するスパイス会社の利益誘導をねらう照射食品推進の実態を広く知らせ、反対運動を行なっていきます。また、国会などを通じ原子力委員会の推進する照射食品の問題と、その責任を追及していきます。
もし、貴社がこれまでの経過を確認され、照射食品の安全性と必要性を再検討され、また、国民、消費者の意見を聞く余地があるなら、スパイスへの放射線照射をやめるよう決断してください。また、貴社の所属する業界団体である全日本スパイス協会として、厚生労働省に出された、スパイスへの放射線照射要請を取り下げてください。
つきましては下記の質問に12月25日までにご回答願います。
質問
1.貴社の製品であるスパイスへの放射線照射はどうしても必要ですか。
2.厚生労働省に要請したスパイスへの照射許可について取り下げられませんか。
3.照射スパイスについて照射食品反対連絡会と話し合いをすることができませんか。
4.照射食品に対応できる(科学的にも、社会的にも)担当者をお知らせください。
5.全日本スパイス協会と照射食品について意思疎通は十分できていると思っていますか。
|