あなたの猫は大丈夫?
キャット・フードへの放射線照射中止


 オーストラリア政府が義務付けている輸入ペットフードへの照射が原因で、飼い猫が死ぬケースが複数報告されている。

 オーストリア政府はこの10年以上にわたり、殺菌目的で、輸入ペットフードへの照射を義務付けてきた。しかし海外で、照射ドライ・フードを食べた猫が致命的な神経障害を引き起こす事例が報告されたことから、農務相がこのほど照射中止を命じた。
 同様に照射されたフードを食べた犬では、そうした事例は報告されていない。
 昨年、約90匹の猫が体調を崩し、11月までに30匹が死んだ。カナダのChampion Petfoods社製のペットフード(ブランド名「Orijen」)との関連が疑われ、検疫局が対応に踏み切った。
 製造元のChampion Petfoods社は、今回の問題の原因は、オーストラリア検疫局(Austrarian Quarantine and Inspection Service)が義務付けている照射処理だと主張している。オーストラリアは、指定温度以下でしか加熱調理していないフードを輸入する際には、50kGyの照射を義務付けている。同社は60ヶ国にフードを輸出しているが、照射を義務付けているのはオーストラリアだけだという。
 オーストラリア検疫局と、照射を行っているステリテック社(Steritech)は、当時、照射処理は無害だと主張していた。人間の食品でも、乾燥ハーブ類や熱帯産の果物など、一部の輸入品が照射対象になっているが、照射線量はペットフードに義務付けられているよりもかなり低い。
 今回の照射中止は猫用の輸入フードのみが対象で、犬用の輸入フードに対する照射は引き続き行われるため、猫が誤って犬用のフードを食べてしまうおそれがある、と懸念する声もある。
 オーストラリアでは、ペットフードについては、照射の有無を表示することが義務付けられていない。
 Champion Petfoods社は、オーストラリア国内の猫の飼い主に対して、同社のフードが原因で体調を崩したペットの治療費を負担する基金を設けている。

Sydney Morning Herald紙 2009年5月30日付
http://www.smh.com.au/national/catfood-irradiation-banned-as-pet-theory-proved-20090529-bq8h.html


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