照射食品反対連絡会 |
代表世話人 | 和田 正江(主婦連合会副会長) |
同 | 富山 洋子(日本消費者連盟代表運営委員) |
同 | 飛田 恵理子(東京地婦連生活環境部副部長) |
同 | 里見 宏(食品照射ネットワーク代表) |
放射線照射食品の監視・指導等についての要望
拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
先般の報道によりますと、「食の安全」につきまして、11月23日、東京都内で中国・韓国・日本3カ国の保健担当相の会合が開かれ、次のような内容を盛り込んだ食の安全に関する覚書が採択されたとのことです。貴国からは、陳竺衛生部長がご出席されました。
@食品安全や検査に関わる法律や基準、検査手順の情報提供。
A問題が起きた際、専門家を派遣し会合を開く。
B国内の食品製造、販売業者に輸出先国の衛生規則を指導する。
ますます貴国からの輸入食品が増えて相互依存が深まっているなか、時宜に適った取り決めであると歓迎いたします。
さて、私たちは、食品の安全性問題や原子力・放射線問題、農業問題に関心をもつ消費者・市民団体から成る連絡会で、数年前から放射線照射食品について共同で活動しております。放射線技術は、すでにさまざまなところで利用されておりますが、私たちは、食品の殺菌・殺虫・発芽阻止・熟度調整などのために放射線を使用することに、強く反対しております。
その主な理由は次のとおりです。
1.人の健康を損なうおそれがある。
2.照射された食品の照射線量・回数を調べる方法(検知法)がない。
3.管理・監視ができず、悪用・乱用が起きる。
4.食中毒予防には役立たない。
5.食品の質を低下させる。
6.原子力業界など一部の利益のために、食品への放射線照射という原子力の商業利用を認めるべきではない。
私たち日本の消費者のほとんどは、「放射線照射食品は食べたくない」と思っております。そのことは、日本の食品衛生法において、照射食品は原則として全面的に禁止という規則に反映されております。1972年という早い時期に国民が知らないあいだに馬鈴薯(じゃがいも)のみ許可されてしまいましたが、その後は、1品目も許可されておりません。私たちは、この全面禁止措置を堅持することを支持しています。
現在、日本政府は、輸入食品の検疫所における監視等を強めているところですが、その公表資料によりますと、このところ、貴国からの輸入食品の中で、違法な放射線照射をした食品がめだって増えております。
今年に入って厚生労働省が出した違反通知文書(別添)だけでも下記のようになっております。
2009年
2月 乾燥ケール粉末(厚労省通知2月18日付)
3月 乾燥しいたけ(同3月6日付)
5月 乾燥しいたけ(同5月15日付)
8月 ボイルシャコ(同8月20日付)
9月 乾燥ねぎ (同9月11日付)
9月 ウーロン茶 (同9月17日付)
10月 乾燥しいたけ(同10月21日付)
10月 ボイルシャコ(同10月28日付)
さらに、私たちの会独自に委託した調査でも、冷凍子持ちシャコに放射線処理の結果を得ております(4月)、これらは氷山の一角と思われます。このことは、貴国から輸出されてくる食品への信頼性を著しく損ねております。
そこで、貴国におかれましては、次の行政敵的指導と幾つかの質問にお答えいただくようお願いいたします。
質問:違法な放射線照射を行った事業者と施設に対して、どのような措置、または再発防止のための指導をされたか(例:日本への輸出前のサンプリング検査の強化など)。
また、次の点について、ご措置いただくようお願いいたします。
日本では、消費者が放射線照射食品に強く反対しており、食品衛生法でも放射線食品照射を全面的に禁止(馬鈴薯除く)しているので、日本に向けて放射線照射食品を輸出してはいけないということを事業者と施設に周知徹底し、指導するよう申し入れます。
@違法な放射線照射を行った事業者と施設に対して
A全ての放射線照射事業者・施設に対して
B日本に対して食品(農産物・海産物・加工食品等)を輸出している関連事業者に対して
今後も、貴国から輸入された食品に放射線照射が行われていることが続くようですと、貴国からの食品全体への信頼は失われることになるでしょう。ぜひとも、上記につきまして、対応してくださいますようお願いいたします。このことにつきましては、本文書を日本政府(厚生労働省、消費者庁)にも提出することにしております。お忙しいことと存じますが、これらの質問及び措置への貴国の対応につきまして、2010年1月末日までに下記宛、文書などにてご連絡くださいますようお願い申し上げます。
敬具
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