中毒で脅かして照射迫るアメリカ業界

里見 宏

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7月2日、各マスコミが「輸入鶏肉にバンコマイシン耐性腸球菌発見」と報道しました。何なのという人から、また恐い菌が見つかったと心配する人までいろいろだったようです。有名なのはメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という菌です。ブドウ球菌は人の皮膚にもいる菌です。普通に暮らしているときにはまったく問題ありません。しかし、手術をして身体が弱っているときに傷口にこの菌がついて化膿するとこの菌を殺す抗生物質がないのです。この耐性ブドウ球菌に唯一効く抗生物質として残っっていたのがバンコマイシンだったのです。このバンコマイシンが効かなくなると大変だというので日本の医者は本当に必要なときだけ使っていたのです。ところがこのバンコマイシンに良く似た構造を持つアボバルシンが家畜の飼料に添加されていたのです。このアボバルシンに耐性を持った菌は似たバンコマイシンにも耐性を示したのです。この耐性球菌(VRE)がヨーロッパで見つかり問題になっていたのです。
そこで厚生省はこの耐性菌が輸入肉などについていないか検査をしていたのです。輸入鶏肉120検体、国内鶏肉128検体及び輸入豚肉60検体について調査を行った結果、タイ産鶏肉(14検体中3検体)及びフランス産鶏肉(6検体中3検体)から高度バンコマイシン耐性腸球菌(高度VRE)が見つかったのです。
このアボバルシンをタイではいまも使っているのです。フランスは1997年7月よりアボパルシンの使用を禁止しているそうですが、とき遅くそ耐性菌が生れて広がっていたのです。日本ではアボパルシンの使用を1996年11月からやめています。でも、日本でも耐性菌が生れていてもおかしくはありません。
 心配になるかもしれませんが、普通の健康人は、高度に汚染された鶏肉を食べても健康上の問題が起きることはありません。また、熱に弱いので普通に調理すれば心配ありません。70℃で1分加熱すれば死滅します。
少し関係なさそうな耐性菌の話が長くなりましたが、最近はO157や手足口病や新型インフルエンザなどうつる病気で毎日といっていいほど脅かされている状況にあります。実はこうした状況が放射線照射の突破口になると推進側は着々と準備をしています。
アメリカのGMA(Grocery Manufactuers of America)という食料雑貨を扱う業界団体のホームページを開くと照射食品推進のビデオが5分間流れます。また、この団体は照射食品を「未来の安全テクノロジー」として大々的にキャンペーンを始めています
この一連の流れはアメリカが昨年12月に肉への放射線照射を認めたことが大きなきっかけになっているようです。このGMA(Grocery Manufactuers of America)という食料雑貨を扱う業界団体は有名な食品会社から日本の味の素のアメリカ法人までが入っています。参加会社の総売り上げが4000億ドルになり傘下の従業員数は250万人だと豪語しています。そして、「宇宙飛行士は照射食品を食べていた」から「菌を殺して中毒防止」まで利用できるものは何でも利用するというするというキャンペーンを行なっています。
そのなかに、1998年4月25日から5月2日までの間に1002人の電話を使って調査をした結果を紹介しています。肉や鶏肉の安全のためなら照射に賛成という消費者は48%だった。また、照射に反対は26%で、どちらともいう未定者は同じく26%であったとしています。賛成という人たちは宇宙食に使ったとか、政府が大丈夫というから使ってもいいのではというものです。肉が菌で汚染するような殺し方や流通の問題を隠したまま照射を進めようとしている業界の思惑が分かればそう簡単に食べるとは考えられません。照射食品の正念場かもしれません。まず問題点を議論する必要があります。アラートも英語版が必要になってきました。
こうしたアメリカの動きに連動しているのでしょうか。私たちに電通の下請け会社から照射食品についての意見を聞きたいといってきました。日本でも水面下で動きが起きているようです。

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