厚労省へ提出された三菱総研の報告書の問題点

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 厚生労働省は三菱総合研究所(以下三菱総研)に29,925,000円を支払い「食品への放射線照射についての科学的知見等についての取りまとめに関する調査業務」として、オリジナル文献、世界各国の規制および運用調査、統計資料、食品安全行政として検討が必要と思われる情報の収集、また、食品業者・消費者等へのニーズ調査などを委託し、この調査報告をもとに薬事食品衛生審議会に諮るとしていました。(08年4月10日付けの「08年3月13日院内集会での質問に関する厚生労働省回答より」)
厚労省は「食品への放射線照射についての科学的知見のとりまとめ業務報告書」(平成21年5月22日受理)を6月にホームページに公開しました。(注:この委託調査は平成20年3月づけとなっている)

確認質問
● 三菱総研によれば厚労省から委託された目的の一つとして「リスクプロファイル原案の作成」が挙げられているが、リスクプロファイルの原案作成を委託した契約で間違いないか。(他に、ニーズ、国外の法的情報。)
● 三菱総研によれば「厚生労働省、農林水産省において、食品安全の面から有用性が認められる食品への放射線照射について、検知法等を含めて検討を進めていくこととされた。」としているが、厚労省は照射食品の安全性の面から有用性を認めているのか。
(注:原子力委員会の報告書は「有用性が認められる食品への照射に関する検討・評価」についての取り組みを厚労省に求めているだけであるが。)
● 厚労省は照射食品の有用性をどのような基準で認めたのか。
● 三菱総研の報告書は厚労省が照射食品を有用と認めた前提で調査されているが、照射を認めるためにという予断が入っていると考えられる事例が出た場合厚労省はどのように対応するか。
● 薬事・食品衛生審議会はこの報告書によって審議を行うのか。

(資料:三菱総研報告書の冒頭「はじめに」の全文)
「平成17年10月に閣議決定された原子力政策大綱において、食品への放射線照射について、『生産者、消費者等が科学的な根拠に基づき、具体的な取組の便益とリスクについて相互理解を深めていくことが必要である。また、多くの国で食品照射の実績がある食品については、関係者が科学的データ等により科学的合理性を評価し、それに基づく措置が講じられることが重要である』とされ、有用なものについては今後必要に応じて認可対象を広げていく考え方が打ち出された。
これを踏まえて、平成18年10月には原子力委員会照射食品専門部会報告書が公表され、 厚生労働省、農林水産省において、食品安全の面から有用性が認められる食品への放射 線照射について、検知法等を含めて検討を進めていくこととされた。
本業務は、以上の背景を踏まえて、食品安全行政の観点から食品への放射線照射につ いて検討を行うため、これまでに公表された科学的知見を収集し、食品へ放射線照射を 行うことにより生じると考えられる危害要因について、収集した文献等を精査・分析し、 リスクプロファイル原案を作成するとともに、食品への放射線照射について、我が国内 におけるニーズを把握するための調査を実施したものである。平成20 年3月」

問題点1
リスクプロファイル原案の「ラット結腸ガンに対するプロモータ活性」の説明で「2-ACBはそれ自体は発がん物質としては働かないものの、化学物質による発ガンプロモータ活性を有している。文献9 」とまとめている(p5-12)。
文献9のラウル等の報告はシクロブタノンだけの投与群が無く、シクロブタノンに発がん性がないという確認はしていない。現在、一番の論争点になっている2-アルキルシクロブタノン類の発がん性を否定する記載をしたこの報告書を厚労省は受理しているが、この記述はミスとは片づけられる質の問題ではない。この記述は報告書の信頼性を崩すものであり、単に訂正すればすむ問題でない。厚労省はどのように考えるか。

資料 ラウル等の実験報告の内容



図 発ガン物質であるアゾキシメタンを投与したラットの結腸腫瘍の発生数と2種類の2-アルキルシクロブタノン類を同時に投与したときの結腸腫瘍の発生数(6ヶ月後)。□は動物1匹を表し、腫瘍のサイズは○(〜6mm),▲は 6<S<25mm、●は>25mm以上)(TCBは2−テトラデシルシクロブタノン、TeCBは2−テトラデシニルシクロブタノンの略。注:原著は中間色の○であるが区別が出来ないことがあるので編集部で▲に置き換えた。)
文献:「Food-borne radiolytic compounds promote experimental colon carcinogenesis」 F. Raul,Nutr. Cancer.,44,188-191 (2002).

● 1980年の合同専門家委員会は「放射線照射による生成物は通常の調理法によってできるものと同一であったとして、10kGyまでの照射は害作用を示さないとした。しかし、その後、照射生成物である2-アルキルシクロブタノン類が毒性を示すことが判明し、1980年の判断が根底から崩れている。この問題が科学的に評価されていないため今日の混乱をまねいている。科学的根拠があるかのように、2-アルキルシクロブタノン類に発がん性がないとした三菱総研の報告は科学的報告書といえない。これを厚労省が受理し公表している問題は国会で等で改めて議論する必要がある。
照射食品は食品衛生法6条の2で扱う問題である。
現在、照射食品は食品衛生法11条の規格基準で禁止されている(昭和34年12月厚生省告示第370号)食品衛生法11条の「食品の一般の製造、加工及び調理基準」で「食品を製造し、又は加工する場合は、食品に放射線を照射してはならない。」とされている。
また、「食品一般の保存基準」で「食品の保存の目的で、食品に放射線を照射してはならない。」とされている。例外規定として、食品の製造工程又は加工工程において、「その管理を行う場合」として「異物混入のチェックと食品の厚み確認に0.10グレイ以下の照射」と「野菜の加工基準」として「ジャガイモへの発芽防止として150グレイ以下の照射」とされている。食品に例外規定で照射が認められるためには「放射線照射を行うことができる対象食品は、原則として個別に評価され認められる」とされている。
基準を変更すれば照射食品は許可できる。しかし、2-アルキルシクロブタノン類の毒性が出てきたことから、食品衛生法6条の2、食品衛生法7条「人の健康を損なう恐れがない」確証が必要である。

注1:食品衛生法11条というのは「厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる」
注2:食品衛生法第6条第2項「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない 」
注3:食品衛生法7条「厚生労働大臣は、一般に飲食に供されることがなかつた物であつて人の健康を損なうおそれがない旨の確証がないもの又はこれを含む物が新たに食品として販売され、又は販売されることとなつた場合において、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、それらの物を食品として販売することを禁止することができる 」

問題点2
 世界各国の規制及びその運用状況の調査で各国のまとめがなされているが、収集の仕方がインターネットやアンケートによるため重大な漏れがある。例えば、ドイツでは照射食品の国内での販売が禁止されていることや各国の照射施設の数や名称が最新の報告であるにもかかわらず、5年前の食品安全委員会、2年前の日本原子力研究開発機構の調査より情報が古い。インドや中国などまったく情報がちがっている。このような報告書で審議するのか。
(注:平成16年3月、「食品への放射線照射技術の安全性に関する欧米の取組状況調査報告書」食品安全委員会、(照射で約一割値段が上がる)
平成19年度「放射線利用の経済規模に関する調査報告書 食品照射海外調査(内閣府委託事業 独立行政法人日本原子力研究開発機構)など)(フランス大使館よりの回答)

問題点3
● ニーズ把握調査(p4-1)で一般消費者へのアンケートはWEBアンケート方式で日本全国の一般市民モニターに行ったことが記載されているが、一般市民モニターとはどのような集団か不明であり、何通のアンケートメールを送ったのか記載がなく、目標回収件数に達し次第終了として、3,015通としている。何万通も送っているかも知れず、回答者が偏っている可能性があるため、このままでは日本の消費者の代表的意見とすることに問題がある。厚労省は「一般消費者モニター」の内容、発送数、回収率を知っているのか。
● ニーズ調査の設問4「放射線の他利用」の認知度(p4-15)、設問5で技術認知として「ばれいしょ等の発芽防止」「従来技術で困難とされる食品の効率的な殺菌」「防疫上有害な昆虫の効率的な防除」「イチゴ等の日持ちの向上」について認知度を4ランクで聞いているが「よく知っている」「少し知っている」などとしているが「よく知っている」の「よく」の内容を聞く設問がないため、後でクロス表を作るなどしているが分析に耐えない、意味のほとんどない分析となっている。
● 設問6の「安全確保下における購入賛否」で「安全が確保された上であれば、照射食品を購入したいと思いますか」という消費者の直接的ニーズを聞いている。

購入したい138人( 4.6%)
どちらかというと、購入したい411人(13.6%)
どちらともいえない1,206人(40.0%)
どちらかというと購入したくない956人(31.8%)
購入したくない301人(10.0%)


となっている。「明確な立場を取る意見は少ないものの、総体としてみると購入には否定的である」と記述している。

● 設問7の「わが国への導入賛否」は

導入に賛成175( 5.8%)
どちらかというと導入に賛成605(20.1%)
どちらともいえない1,196(39.7%)
どちらかというと導入に反対763(25.3%)
導入に反対276( 9.2%)


となっている。賛成:反対の差はほぼない結果となった。
こうした個々の設問結果を最後に全体の「まとめ」(p4-41)として「照射食品の購入・導入の意思の間には強い相関関係があるものの、いずれでも賛成:反対の判断は付きかねる状況である。」と総括している。設問6のまとめで「購入には否定的である」とまとめながら「総まとめ」で否定するという分析をわれわれは受け入れられない。
全体に言える事だが、今回の調査で回答した消費者は情報が足りないものに理由なく「反対」という決定的な判断をしないという特性を持っている。当たり前といえば当たり前であるが、こうした特性を無視したまとめをしている三菱総研の分析に問題がある。厚労省は三菱総研のこうしたまとめを良しと判断しているのか。

● 設問9 懸念事項 照射食品の安全性に関する意見(n=3,015)

「照射食品と非照射食品の区別ができなくなってしまう恐れがある」

そう思う33.9%
どちらかというとそう思う42.1%
どちらともいえない19.0%
どちらかというとそう思わない3.8%
そう思わない1.2%

(注:本文にはほとんどコメントがないので、消費者側からコメントを加えた。
コメント: 現在販売されている照射ジャガイモですら表示がきちんとされていない。それどころか販売量や販売先も公表されていない。消費者が懸念することに一理ある。

「照射食品中の成分が変化し、未知の健康影響をもたらす恐れがある」
そう思う24.0%
どちらかというとそう思う45.0%
どちらともいえない25.9%
どちらかというとそう思わない4.1%
そう思わない1.0%

(コメント:まさに2-アルキルシクロブタノン類がこの問題の象徴である。消費者からの発がん性実験の要望があるのに、照射食品推進する各国は実験を避けている。照射食品の根底が崩れることがあるかもしれないが、正確な実験を行い事実を明らかにする必要がある。この報告書のように根拠もなく発がん性はない旨の記述をするに至って、消費者との信頼関係がなくなる可能性がある。厚労省としては文書の訂正で問題が解決しないということを認識されたい。)

「照射食品を扱う従業員が被曝する恐れがある」
そう思う23.0%
どちらかというとそう思う44.4%
どちらともいえない24.7%
どちらかというとそう思わない6.0%
そう思わない1.9%

(コメント:従業員の事故は教育で防げるかというとなかなかうまくいかない。日本では北海道の士幌農協の照射ジャガイモ施設で初期段階で被曝事故が起きている。)

「食品への放射線照射技術はまだ未熟である」
そう思う17.9%
どちらかというとそう思う43.7%
どちらともいえない33.3%
どちらかというとそう思わない4.2%
そう思わない1.0%

(コメント:技術が未熟の意味がわからないが、情報の公開の仕方、照射食品を推進するやり方は未熟というより推進団体として未成熟である。)

「照射食品は危険である」
そう思う12.3%
どちらかというとそう思う35.9%
どちらともいえない40.5%
どちらかというとそう思わない8.4%
そう思わない3.0%

(コメント:情報がないため危険と言い切ることも出来ないので12%であろう。でも、放射線照射という技術に対し付随して起きることを懸念している人が多いという結果である。照射ジャガイモが1972年に許可になって、はや37年以上の時間がたっている。にもかかわらず今回の調査の結果がこれである。原子力を食の世界にまで応用しようとすることに無理があるということであろう。)

問題点4
● 業界団体へのニーズ調査で設問6は「スパイス(香辛料)について、放射線照射による殺菌が有効であるとの主張があります。わが国において科学的知見に基づく安全性の評価を行った上で、有効性が確認された食品への放射線照射技術を導入することについてどのようにお考えですか。最もあてはまるもの一つだけに○をつけて下さい。」という設問に

導入すべき58社(41.7%)
どちらともいえない47社(33.8%)
導入すべきでない10社( 7.2%)
わからない23社(16.5%)
無回答1社( 0.7%)


この回答は安全と評価された上でも導入すべきが半分になっていないことに消費者は食の安全に対する業界の良識を感じている。また、この後の設問7(p4-60)で「導入すべき」と答えた企業に導入に必要な条件を聞いているが、「既存の技術より有用(72.4%)」と「消費者が受容するもの(70.7%)」とが並んでいる。消費者の意向を尊重する企業の良識に消費者は期待する。
安全性に関して、「2-アルキルシクロブタノン類の発がん性問題がある」という内容の設問であれば消費者、企業の回答は大きく変わっていたであろうと推測できる。それでも照射技術を導入という企業は全日本スパイス協会参加企業くらいであろう。こうした質問がなかったことが残念である。厚労省はこうした結果をどのように判断するか。また、薬事・食品衛生審議会に諮る基準はどのように考えているのか。

● 学会等については、放射線分野の学会、食品衛生の学会、生物分野の学会、薬学分野の学会など26学会を対象にしているが、学会からの回収は13で有効回答が10学会というものである。その10学会の内訳がわからないための問題がある。しかも、学会そのものが照射食品に大きな関心を持っていないことがわかる。これは原子力推進団体が孤立した動きをしていることと無縁でないであろう。また、科学的な興味の少ない領域であるためでもあろう。厚労省はこの結果についてどのように考えているか。

問題点5
食品安全委員会や内閣府などの調査資料すら収集されていない。
日本での議論資料がまったく収集されていない。
07年10月19日づけで消費者が調査を要請していたことすら検討されていない。
上のような情報が収集されていないが厚労省はこれで十分と判断しているのか。

問題点6
● p1-1の表で「食品照射の歴史的経緯」は「食品照射の基礎と安全性 伊藤均 JAERI(2001)」の引用ですませているが、これは伊藤氏の切り口であり照射食品の経過を偏らせている。三菱総研で独自に経緯を調べれば照射ベビーフード事件や消費者による反対運動、学校給食への照射ジャガイモの斡旋停止、小売照射ジャガイモへの表示通知など入れなければならないものがまったく欠落してしまっている。表中の「2000年のスパイス(香辛料)の殺菌許可申請」の申請が要請の誤りであることにも気がついたはずである。日本では北斗出版の「放射線照射と輸入食品」にも国外と日本の対比が出きる詳細な年表が作られている。日本の照射食品に関する情報を収集していない三菱総研の資料の収集の仕方を厚労省はどのように判断するのか。
● p1-5の「現在許可されている5MeVから変換効率の高い7.5MeVへの変更に対する強い要望もあり・・・」など推進派の意見を取り入れ引用する結果となっている。
● p1-6の表「世界の稼働中の食品照射施設」はインドや中国、日本のデータすらなくデータが古い。現在の実態を抑えていない。引用先を米国のパブリック シティズンとIsotron社のホームページから作成としているが情報が古すぎる。
● p1-10の表に「1976年に食品添加物としての取り扱いは妥当でない」とあるが2-アルキルシクロブタノン類が具体的な化学物質として問題になっており、この変更が誤りであったことが指摘されていない。

問題点7
● 違法照射食品についての調査がされていない。照射が許可されると照射施設を維持するために違法な照射までして利益を上げることが行われている。代表的な事件は日本では照射ベビーフード事件であり、ラジエ工業は有罪となり、照射ジャガイモへの認可も返上している。イギリスでは違法照射エビ事件、米国フロリダの違法照射紅サケなどがある。また、食品安全委員会のデータベースにも各国の違法照射事件が収集されている。三菱総研にはこうした、日本政府が行った調査や各国政府が行った調査データすら収集していないが、これは厚労省が指示したものか。こうした情報は必要ないのか。
● 照射によるコストや放射線線源であるコバルト60などのテロ対策など、放射性物質の安全管理についての調査は今回の委託調査には入っていないのか。入れなかった理由はなにか。
● 現在、わが国でも輸入食品から違法に照射された食品が見つかっている。こうした事実に対し、まったくこの報告書は触れていないが、こうした違法がなぜ起きるのか、その原因を追究する必要があると考える。こうした調査を委託しなかった理由はなにか。

『放射線照射による食品衛生法違反事例(1996年〜2009年)』

届出年月 品名 重量 違反内容 製造国 備考
1996年6月
1996年6月

1996年7-9月
1996年10月
1997年1月
1997年8月
1997年8月
1999年12月
2000年9月
2000年9月
2001年1月
2001年10月
2002年2月
2004年1月
2004年3月
2004年11月
2006年5月
2007年12月
2008年6月
2008年10月
2008年11月
2009年2月
2009年3月
2009年3月
2009年5月
2009年5月
朝鮮人参ドリンク
朝鮮人参ドリンク

紅鮭加工品
花粉加工食品
粉末清涼飲料百宝
粉末サメ軟骨
健康食品NOPAL
粉末サメ軟骨
アガリクスタブレット
アガリクスエキストラクト
焙煎ガラナ豆
蜜蜂の幼虫粉末
マカパウダー
マルハのホッキ貝
ハーブ抽出物
粉末田七人参
ソイアクト
パプリカ
乾燥しいたけ
マカ
きざみ赤唐辛子
乾燥ケール粉末
乾燥しいたけ
黒コショウ
乾燥しいたけ
冷凍シャコ
1,400kg
1,680kg

11,000箱
165.5kg
 324kg
 100kg
 300kg
  5.4kg
4.25kg
   5kg
3,000kg
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
不明
 300kg
不明
不明
不明
 1550kg
不明
放射線照射
放射線照射

放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
放射線照射
中国
中国

米国
米国
中国
台湾
メキシコ
カナダ
ブラジル
ブラジル
ブラジル
中国
ペルー
中国
中国
中国
米国
ドイツ
中国
ペルー
中国
中国
中国
米国
中国
中国
ガンマ殺菌
ガンマ殺菌

ガンマー殺菌(無届け)
ガンマ殺菌
ガンマ殺菌
ガンマ殺菌
ガンマ殺菌
電子線照射殺菌
ガンマ線殺菌
ガンマ線殺菌
ガンマ線殺菌
ガンマ線殺菌
ガンマ線殺菌
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
ガンマ線
資料 食品照射ネットワークHPより

●消費者も申し入れてある米国で照射ベーコンが禁止された件についても調べていない。

●照射もも缶詰についても調べていない。

●p1-10は「食品への放射線照射の安全性をめぐる議論と科学的知見の状況」という表題で今回の調査の柱である。「国際機関における議論の状況」としてFAO/IAEA/WHO合同食品照射専門委員会の説明を前出の「食品照射の基礎と安全性 伊藤均 JAERI(2001)」から引用している。この中で「1970年には照射食品の安全性を評価する国際プロジェクトが発足し」と、国際機関が国際プロジェクトを発足させたかのように記載しているが、この民間機関である(IFIP)での説明がないのは不自然である。このIFIPが民間企業に委託したデータが安全というものばかりであり、推進のための機関といえる。この問題が照射ベビーフード裁判で問題になったのである。IFIPは民間機関で1970年19カ国(その後24カ国)の原子力・電力関係団体などの拠出金により設立された。年間予算は50万ドル。このような曖昧な調査を厚労省はどのように考えるか。

資料
厚労省はこの件について「ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所とカールスルーエ市にある国立原子力研究所とカールスルーエ市に事務所のある国際食品照射プロジェクト(IFIP)の関係について、どのような事実を把握しているか。」との質問に「食品・食品添加物研究誌」2004年第12号によれば、国際食品照射プロジェクト(IFIP)は、国際協力により照射食品の健全性の確立を目指す一環としてカールスルーエ市にある国立原子力研究所内で行われたものとされている。国立原子力研究所とカールスルーエ連邦栄養研究所との関係については承知していない。」保坂展人衆院議員の質問主意書「内閣衆質一六四第三四六号(平成十八年六月二十二日)」

●1976年のWHO報告の今後の研究に脂肪の問題が指摘されている
11. 今後の研究:照射食品(セクション9−3、10ー2、10ー5)に「今後の課題」としてコメントを付したが、委員会はこれ以外に次の様な分野の研究を行って、食品に対する照射処理の影響について一般的な知識を増やし、将来の評価を容易に行える様にすることを勧告した。
(1)照射生成物をさらに同定し、その毒性を検討する(セクション2)。
(2)照射した食品を動物に与えた時に起こる変化が照射によるものかどうか判断できる様に、個々の動物に対して長年蓄積された動物固有のデータを集め吟味する必要がある(セクション5)。
(3)照射による栄養価の損失と他の食品の処理加工あるいは貯蔵による栄養価の損失との比較、および照射と他の処理とを組み合わせた時の栄養価に及ぼす影響について調べる必要がある(セクション5)。
(4)照射食品と非照射食品の揮発性物質の毒性を比較する必要がある(セクション7ー3ー2)。
(5)パーオキサイドやエポオキサイドの生成、シスートランス異性化などを考慮に入れて、脂質の放射線分解生成物の化学的、栄養学的、毒性学的検討を行う必要がある。
●1980年のWHO報告の今後の研究が指摘され、その後の報告はない
1 大規模に照射を行った場合の技術的可能性及び経済性について種々の食品に対して検討する。
2 大線量照射した食品の健全性を検討する。
3 可能ならば、人間の食品に放射線を照射した時の影響について、情報を系統的に収集して整理する。
4 豆類の蛋白質効率及びビタミンB群に及ぼす放射線照射の影響については、一致した見解が得られていないが、豆類は世界各国で重要な食品であるので、これらの事項に対して正しい結論を出す必要がある。
5 葉酸に及ぼす放射線照射の影響についてはほとんど知られていないが、世界のある地域では葉酸の摂取量が少なく葉酸が欠乏する可能性があるので、葉酸を含んでいる代表的な食品についても放射線の影響を検討する必要がある。
6 放射線照射と他の加工処理とを併用した場合に食品の栄養価に及ぼす影響について研究する。
 厚労省は答弁書で「その後の、同報告書の「今後の研究」に関する研究結果が記載された「テクニカルレポート」については、現在のところ把握していない。」と回答し放置されたままになっている。こうした未解決の問題があることを厚労省はどのように考えているか。

●その他(照射食品は本当に食中毒予防の効果があるのか。照射食品は飢え問題を解決できるのか。机上の理論で有用性が言われてきたが、根拠が崩れているが、厚労省はどのように判断しているか。)

参考資料  三菱総研の調査に当たり厚労省への申し入れ文書

2007年10月19日

厚生労働省
   舛添 要一 殿

照射食品反対連絡会
代表世話人 和田 正江
同 飛田恵理子
同 富山 洋子
同  里見 宏

 
「食品への放射線照射についての科学的知見等の
取りまとめかた業務に係る調査項目」についての申し入れ


 厚生労働省は原子力委員会よりの通知「食品への放射線照射について」を受け、表題の調査を行うとしております。しかし、この調査項目では照射食品の安全性および必要性を判断するには条件が足りていないと消費者は結論するに至りました。よって下記のような条件を満足するような調査を行うことを申し入れます。

1.2-ドデシルシクロブタノン類の遺伝子への傷害性、発ガン補助性、催奇形性および発がん性実験を照射食品に利害関係のない中立の公的研究機関(原子力研究所、および原子力関係予算、旧科学技術庁より原子力および照射食品の研究費をもらったことのない研究機関および研究者)で、2箇所以上の研究施設で実験を行うよう申し入れる。

2.照射ベビーフード事件の裁判議事録、提出書類を今回の収集資料に入れること。

3.食品業者へのニーズ調査はメリットやデメリット情報が一方的に偏った状態での調査では誤った選択がなされる恐れがある。食品業者が照射食品についての正確な情報をどれだけ持っているかを正確に判断できる質問も入れた上で、照射を必要としているかどうかの判断ができる調査を行うこと。調査用紙を消費者団体も調査前に検討できるようすること。

4.消費者のニーズについても、食品業者と同じく調査項目を消費者団体にも検討できるようにすること。

5.照射食品に関する学識経験者の定義を公表すること。照射食品に関する調査は根拠を明確にした上での調査になるようにすること。また、直接照射食品の研究にたずさわったことのない、毒性学、疫学、公衆衛生学、放射線医学、社会医学、法学、食品学など広い研究者に資料を提供した上で調査に回答してもらうようにすること。

6.米国陸軍が行った照射ベーコンと照射モモ缶詰の実験データを入手すること。

7.米国陸軍の照射ベーコンおよび照射ハムに対し、FDAがカリフォルニア大学依頼していた動物実験のオリジナルデータを収集すること。

以上

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