2000年8月25日付けの「ビジネス・ジャーナル(タンパ・ベイ版)」によると,カナダのブリティッシュコロンビア州・デルタにあるペガサス・フーズ社は同社が日本向けに輸出した紅鮭過剰照射されたために商品価値が無くなり200万ドル(約2億円)以上の損害を被ったとして、アメリカ・フロリダ州のタンパにある放射線照射専門会社・フードテクノロジーサービス社(旧
ヴィンジケ−タ社)に損害賠償を請求する訴訟をフロリダ州ヒルズバラ郡巡回裁判所に起こした。
ペガサスフーズ社は,カナダおよびアメリカで獲れた魚貝類を,カナダ国内およびアメリカ,日本,韓国へ販売している。1978年に日本で設立され,東京,大阪およびバンクーバー(カナダ)に支社があり,アラスカに加工場も持つ。日本の社長は坪谷清三郎氏、カナダ支社の社長は日本人(1998年にカナダ国籍を取得)である。
一方,フードテクノロジーサービス社は,コバルト60を放射線源とする照射施設を持ち,鶏肉や牛肉,卵,医療用品などへの照射を行っている。
訴訟理由は,フードテクノロジーサービス社が「鮭製品に過剰に照射したため,変色や臭いがつくなどし,商品価値が無くなってしまったため」としている。これに対しフードテクノロジーサービス社側は,あくまでもペガサスフーズ社の指示内容(照射レベル等)に従って照射しただけだ,と主張している。
問題の鮭製品は,カナダおよびアメリカ北部で捕獲された紅鮭を,切り身,イクラ,スモークサーモンに加工したもので,11,000箱以上が1996年7月から9月の間に照射のためにフロリダのフードテクノロジーサービス社に送られた。そこで照射された後,日本へ輸出されたが,日本で異臭などの異常が見つかり商品とならなかったという。
日本は魚介類への照射は許可されておらず,この照射鮭製品は違法ということになる。また,アメリカでも国内で販売される魚介類への照射は禁止されている。
訴訟の中でペガサスフーズ社は「照射することにより在庫期間を延長でき,食中毒を防ぐことができると考えた」としている。
また,,「我が社では,この事件以前もその後にも,ペガサスフーズ社の鮭への照射を請け負っており,他に特に問題は発生していない」と言っている。
ペガサス・フーズ・ジャパンの坪谷清三郎社長はカナダオフィスのマネージャーが勝手に照射して日本に送った。日本に来た鮭は商品にならないので送り返した」と説明している。この照射鮭は食品衛生法違法であり厚生省が調査に入ると思われる。
照射食品ネットワークからも訴えられているフードテクノロジーサービス社に照射した量、期間などを問合せ中。
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