秋田県の新しい「あきたこまち」の安全は証明されていない

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健康情報研究センター代表
照射食品反対連絡会世話人
里見 宏 Dr.PH




秋田県の「あきたこまち」が問題になっている
「コシヒカリ」に強い重イオンビーム(放射線)を当て遺伝子を破壊したらカドミウムを吸収しなくなったという。
秋田県は「あきたこまち」とこのコシヒカリを交配したらカドミウムを吸わない「あきたこまち」になったという。コシヒカリの遺伝子が「あきたこまち」に移ったのだ。
この変異した「あきたこまち」を「あきたこまちR」と名づけた。この「あきたこまちR」を県内の農家が昨年(2025年)から全面的に栽培し、「あきたこまち」として売り出した。

「あきたこまちR」は「あきたこまち」と同じものか?
「あきたこまちR」の安全性の保証はこれまで食べてきた「あきたこまち」と同じだから安全だという。「実質的同等性」が証明されたというのだ。
秋田県は「あきたこまちR」と「あきたこまち」の出穂期、成熟期、穂長、穂数、収量、千粒重、品質、食味など15項目を比較したという。その結果「あきたこまち」と同じだったという。(表参照)
この表の15項目で実質的同等性の証明になるという。この15項目はコメ生産者の作業はこれまでとほぼ同じという情報を提供しているだけである。




注:この表は実質的同等性を証明していない。

「あきたこまち」と「あきたこまちR」の成分を比較した
「あきたこまちR」はマンガンを吸収する遺伝子が破壊された「コシヒカリ環1号」から遺伝子を受け継いでいる。この「環1号」の変異はマンガンだけでなくカドミウムも吸収しなくなる。この遺伝子を「あきたこまち」に移したのだ。これは他のミネラルも吸収しなくなる可能性がある。秋田県にデータを公開するように申し入れしたが回答を差し控えると拒否された。
遺伝子が変異するということはたんぱく質が変わるということだ。「あきたこまちR」のタンパク質がどのくらい変わったかアミノ酸を調べないと評価できない。
食品安全委員会も実質的同等性については「導入する遺伝子がつくるタンパク質の安全性 ? 成分・形態・生態的特質などをみる」としている。「あきたこまちR」はこの遺伝子による影響を公開していないのだ。
必須元素のマンガンが減るのだから、他の必須元素も変化している可能性がある。人間の身体に必要な鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデン、マグネシウム、リンと秋田県も変化がある成分としてあげている「ヒ素」と「カドミウム」を加えた9成分を分析した。
また、コメのたんぱく質をアミノ酸(18種類)にまで分解してアミノ酸の量を分析した。合計27成分となった。

検体
コメのサンプルは秋田県内で生産された「あきたこまち」と「あきたこまちR」である。
サンプルAは「あきたこまちR」で、市販品の「秋田あきたこまち」産地は単一原料米秋田県、2025年11月下旬精米、K社 。
サンプルBは旧来の「あきたこまち」、産地は単一原料米秋田県、2025年11月22日精米、X社。
この検体を日本食品分析センターに依頼した。

結果
分析結果を表にまとめた。
「あきたこまちR」は「あきたこまち」と比べて成分量が「多い」のは「ヒ素」と「亜鉛」だけであった。旧来の「あきたこまち」は25成分が「あきたこまちR」より多かった。
この偏りを統計的に評価する方法がある。サインテストと呼ばれる。
 説明は省くが、下記の「サインテストの判定表」がある。
Nは分析した成分数、今回は27になる。kは「あきたこまちR」で「あきたこまち」より多くなった成分数で2となる。
下記の表でNの27が含まれるところ(表ではNが25-27)のkの値を読むと8である。これは8以下なら統計的に有意な差があるという結果になる。
このサインテストで「あきたこまちR」と「あきたこまち」は統計的有意差があり、秋田県の「実質的同等性」があるという結論は間違いである。
この結論は秋田県の実質的同等性があるという評価が誤りであるということを証明した。この問題提起に秋田県は誠意をもって回答する必要がある。
実質的同等性がないので、その安全性は動物実験などで急性実験から慢性実験、発がん性実験などを行わなければならない。

サインテストの判断表



高橋晄正著:初等推計学、医学書院

あきたこまちRとあきたこまちの成分比較
 単位:mg/100g(カドミウムとヒ素はppm)


注:サインテスト サインテストという方法は結果の数値を符号に変えて表す。(例えば、多い少ない(+,−)勝ちと負け、YESとNO、など)。
今回は分析値を「多い」「少ない」にしてその方向性に基づいて検定した。これにより、データの分布に依存せず、広範な状況で使用できる「万能型」の検定手法となる。しかし、このノンパラメトリック検定は、母集団分布に特定の仮定を置かず、データの符号や順位などを用いて検定を行う方法で、外れ値の影響を受けにくく、少ないサンプルでも適用可能という利点がある。一方で、分布情報を利用しないため、正規分布などが前提のパラメトリック検定に比べて検出力(power)が低下する場合があるという弱点がある。しかし、有意差があれば強い結果となる。


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