「学校内だけで解決できない健康問題(2)」

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2.色覚検査の問題


 私の小5年の孫が色覚検査の申込書を学校からもらってきました。どうも全国的に色覚検査が行われているようです。
 色覚については差別や偏見の温床になっていると1980年代に大きく動き養護教員もその問題を理解していると思っていたのですが、養護教員の世代交代の中で忘れられてきているようです。

日本眼科医会は社会に残る就職差別を逆手にとって、学校で「色覚検査」が行われていないため就職を断わられショックを受ける人がいる。学校で検査すべきとして推進し始めています。この考え方が大問題になります。

日本眼科医会は「色覚異常を自覚させ、将来の仕事や生活設計を作るのがよい」という。差別している企業や団体に止めるようにする運動が必要なのに、子どもにダメ出しすることが、なぜ子どもの役に立つのか、眼科医は教育の現場を全く理解していません。
生活に支障を感じていない人が多いのに、「就職でショックを受ける人もいる」と誇大に話を膨らませ学校を使って検査するのが異常です。社会ではユニバーサルデザインのように、いろいろ配慮が始まっていますし、学校でも対応する環境づくりが進んでいます。

ユネスコの世界宣言でも遺伝病を軽々しく取り上げてはならないとし、学校生活に支障のない異常は、異常とみなさないとしていることを噛み締める必要があります。
2017年9月7日の朝日新聞に、遺伝学会が遺伝に「優勢」とか「劣勢」という表現をやめるとし、色覚についても「色覚多様性」と言葉を変えることになった。
養護教員は「色覚特性」という表現を使っていますが「多様性」の方が広く捉えられていて良いのではないかと思います。早急に検討されたい。

色覚問題の経過
1916年(大正5年)、徴兵検査用に石原忍陸軍軍医(後東大教授)が石原表を考案した。
1920年(大正9年)、学校の身体検査でも色覚を検査することになり、教師の進路指導も行われる。
1958年(昭和33年)、学校保健法の下で色覚検査が規定された。
色覚特性をもつ者の受験を拒む高校や大学があったが、その不合理さを訴える運動があり、1980年代後半から高校入試要項の改善(「調査書」内の色覚欄を削除)、大学入試要項の改善、教員採用制限の廃止が進む。
1995年、学校での色覚検査は小学4年生のみ。
2001年、就職時の色覚検査の義務化が廃止された。
2003年、学校検診で必須項目から削除され、任意検査となる。
2016年、運動器検診が入った時に、色覚検査が「留意事項」とされた。
2017年、添付のような「色覚検査申込書」が私の孫に渡された。
2017年、日本遺伝学会は色覚異常や色盲を「色覚多様性」と変更した。

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