アメリカは水道水フッ素化を開始してから60年を迎えるが、フッ素化水道水と骨肉腫との関連性を示す研究がこのほど明らかになった。 ハーバード大学(歯科衛生校)で行われたこの研究は、5〜10歳の間にフッ素化水道水に曝露した男児が、10〜19歳で骨肉腫を発症する割合が高いことを示唆している。ただし女児では影響は見られなかった(骨肉腫の発症率は女性よりも男性のほうが倍近く多い)。
アメリカでは水道水のフッ素化に政治的な力が働いているため、学会への圧力も強く、フッ素の毒性を示す研究の発表は制限されてきた。今回の研究も2001年4月に博士論文としてまとめられていたが公表はされず、環境運動団体の再三の要請にもかかわらず公開は拒否され続け、全米科学アカデミーも入手できていなかったが、このほどようやくハーバード大学図書館で閲覧が許可されたという。(Taipei Times 2005/6/13)
この博士論文の指導教授に130万ドルの研究資金を提供していた米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)と大学側は、情報隠しが行われた可能性があるとして調査に乗り出している。この指導教授は、業界の出資による練り歯磨きメーカー大手「コルゲート社」の口腔ケア報告書の編集長を務めており、2001年に担当していた博士課程の学生が彼のデータを使った研究でフッ素添加水道水の摂取が骨肉腫発症リスクを増加させると結論する論文をまとめていたにもかかわらず、昨年、フッ素添加水道水を飲んでいた人がその後骨肉腫を発症するリスクは、フッ素が添加されていない水道水を飲んでいた人と「統計的に差がない」と報告していた。
1990年には国家毒性プログラム(NTP)が行ったオスのラットを使った動物実験で、フッ素添加水と発癌の関連性を疑わせるデータが報告されており、10年前にはニュージャージー州保健省が行ったアンケート調査で、フッ素添加されている地域に住む若い男性の骨肉腫発症率がフッ素添加されていない地域よりも高いことが示されている。(Washington Post 2005/7/13)
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