紫外線には発癌性があるとして日焼け止めの塗布やサングラスの着用が世界的に推奨されているが、日光を適度に浴びることは逆に癌予防につながるという2つの研究報告を米国立癌研究所が発行誌に掲載し、波紋を呼んでいる。
1つはスウェーデンとデンマークで悪性リンパ腫患者3740人とコントロール3187人を対象に紫外線への曝露度合いを調べた研究で、紫外線を頻繁に浴びていると発癌リスクが30〜40%減るという結論に達している。もう1つはアメリカで1990年代に行われたケース・コントロール研究で、メラノーマ(黒色腫)患者500人以上を追跡した結果、日光弾性線維症(皮膚損傷を示す組織学的指標)の兆候のあった人の皮膚癌死亡率が、ない人に比べて約50%低かったというもの。同誌は日光を浴びることによるビタミンD生成などが関連しているものと推察している。(Journal of National Cancer Institute, 2005/2)
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