アトピー性皮膚炎などの治療に使われる塗り薬と発癌リスク増加の関連性が示唆されている。
問題となっているのは「プロトピック」と「エリデル」。 前者は藤沢薬品工業が開発し、アメリカでは2000年に承認され、日本では1999年12月から発売されている軟膏で、日本では16歳以上に使用が限定されている。 後者はNovartis社が開発した製品で、日本ではまだ発売されていないが、アメリカでは2001年に承認されている。ともに非ステロイド性の皮膚炎治療薬で、ステロイドに代わる塗り薬として、アメリカでは2歳以上の子どもへの処方(ただし短期間のみ)が認められ、広く使われるようになっている。
しかし、特にNovartis社が「エリデル」を積極的に宣伝広告してきたため、指定年齢以下の2歳以下の乳児にも使われたり、不適切に長期間処方されたりするケースもかなりあるものとみられている。これらの薬は免疫を抑制することによって効果を上げるため、発癌リスクを増加させる可能性が当初から懸念されていた。
このため、米国食品医薬品局(FDA)は承認時に、使用者のあいだでの癌症例のモニタリングを両メーカーに義務付けていた。その結果、これまでに使用者(成人および子ども)の中からすでに少なくとも7例のリンパ腫と7例の皮膚癌を含むいくつかの癌症例が報告され、子どもが感染症を引き起こした例も多数報告されているという。
また、最近発表されたサルを使った実験でも、これらの薬がリンパ腫を発症させる可能性があることが示唆されたという。これらの薬の使用と発癌との関連は確認されたわけではないが、FDA担当者も安全上深刻な問題がある可能性を認めており、強い警告表示の義務付けを検討している。(Washington Post, 2005/2/12)
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