日本にタバコがもたらされて400年ほどたちます。「毒草」「貧乏草」とも呼ばれ、貝原益軒の養生訓には「烟草(たばこ)は毒性あり。烟をふくみて、眩い倒るる事あり。・・・病をなす事あり。又火災のうれいあり。習えばくせになり、むさぼりて、後には止めがたし。いたつがはしく家僕を労す。初めよりふくまざるにしかず。貧民は費多し」と書かれています。さて、日本の未成年者喫煙禁止法は1900年(明治33年)にできました。たった4条からなる短い法律です。1条で20歳以下の喫煙を禁じ、2条で違反者はタバコおよび喫煙具の没収、3条で黙認した親は千円以下の科料、そして、4条で未成年者が吸うことを知りながらタバコを売った者は4千円以上8千円以下の罰金となっています。
私たちは今でも生きている未成年喫煙防止法の実態を知るため、高校1年生の女の子と、中学3年生の男の子に大宮と京王線沿線で実際にタバコを買ってもらいました。もちろん正服で、もしタバコ屋に誰が吸うと聞かれたら「自分だ」と答えるようにといってあります。時間は約3時間の間に回れるだけとしました。私たちはそばで店の応対を観察しながら一緒に歩いて回るわけです。こうして、全部で38軒のタバコ屋でマイルドセブンを注文しました。未成年者にタバコは売れないと断わったのは1軒だけでした。もう2軒は「自動販売機で買ってくれ」といわれてました。この結果、大宮でも京王線沿線でも95%は買えました。今の子どもたちはまったくタバコには不自由しないのです。こんな状態ですから、現在の高校生は4人に1人が1日10本以上のタバコを吸っているのです(国立公衆衛生院疫学部の中高生約6万人の調査より) アメリカのワシントン州では未成年者にタバコ販売が禁止される前では66%が買えたのですが、その後当局がキャンペーンをしたら38%しか買えなくなったそうです。
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アメリカの研究者はアメリカの全ガンの約30%はタバコが原因と報告しています。日本ではタバコが全ガンの18%を占めているといわれています。なぜ日本の方が低いかというと、まだ女性の喫煙が多くないからです。男子だけ見ればアメリカと同じです。タバコを吸わない人に比べ、タバコを吸う人は、喉頭ガンになる人が20.3倍、肺がんが4.1倍です。最近、日本では若い女性の喫煙が急激に多くなっています。喫煙している女性が妊娠すると、吸わない人に比べて約2倍の流産や赤ちゃんの体重が平均2百グラムも小さくなります。早産が3倍、心臓や胃腸に2ないし3倍の奇形が発見されることがわかっています。子宮外妊娠も多くなります。
「受動喫煙」といって、他人の吐き出した煙を空気といっしょに吸わされることをいいますが、アメリカの調査で妊娠中に1日2時間他人の煙を吸わされると、未熟児を産む危険が2倍以上になることがわかっています。
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