輸入食品(上)

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  さて、今回は輸入食品の話です。学校給食でバナナやグレープフルーツを出さないようにしているところは結構あります。農薬がついているので危険だからというのです。そんなこと気にしていたら生きていけないよというあなたに贈ります。
 現在、私たちは平均して毎日約700グラムの輸入食品を食べています。でも、世界からはこれでも足りないからもっと買えと圧力がかかっているわけです。腹も身の内です。そう食べられるものではありません。それに業者は虫が喰ったり腐ったらもうけが少なくなりますから農薬や添加物を使います。ですから遠くから食料を運べばそれだけ危険になります。東京都がおこなった輸入品の分析の例を表1に示しました。この表からもわかるようにレモン、グレープフルーツ、オレンジ、ライチ、干アンズなどはひどいものです。それも何種類もの農薬がでるのですから困ります。

 今から47年前(1947)の秋、ジュネーブで調印された「関税と及び貿易に関する一般協定」英語名を略してガット(GATT, General Agreementon Tariffs and Trade)と呼んでいます。もともとこの協定は加盟国のあいだで輸入品にかける税が違うために起きる不公平や、国が貿易に制限をもうけたり差別的な待遇をしないようにし、またそうすることで品物が国から国へ動き、加盟国の消費者を豊かにし生活を向上させ、自由で円滑な国際貿易の発展と経済の繁栄をはかることを目的に謳いあげたのです。
 ところが企業は農薬や添加物を使って少しでももうけようとします。相手国も自衛のために添加物や農薬の使用基準を作ります。しかし、これに不都合に感じるたのがアメリカです。例えば、日本では1975年にOPP、TBZというカビ防止剤を使ったレモンやグレープフルーツが違法輸入され海洋投棄されました。アメリカ政府は「太平洋をトムコリンズ(レモンをベースにしたカクテル)にする気か」と怒ったのです。ただちに農務長官はこのカビ防止剤を正式に許可するよう日本に申し入れました。1977年にはモンデール副大統領(現在の駐日アメリカ大使)が来日しカビ防止剤の許可を強く要求しました。消費者の反対にもかかわらず福田総理はこのカビ防止剤を許可したのです。この指定で業者は約100億円の利益を得たといいます。しかし、これらのカビ防止剤には催奇形性や発癌が指摘されその危険を消費者がかぶっているわけです。もっと汚いのはアメリカ国内で売られるものには使用禁止なのです。ですから手でむけるとアメリカで人気になっている日本の輸出ミカンには使えません。アメリカでは使えないが日本に輸出するものにはOKというわけです。つい最近も圧力をかけられて殺菌剤のイマザリルが柑きつ類に許可されたのです(表参照)。ところがこのように一々対応していたのではまどろっこしいと、各国の安全基準を統一しようとアメリカがいいだしたのです。これがいわゆる「食品安全基準の国際平準化(ハーモニゼイション)」なのです。

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