食物繊維

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排泄というのも性欲や食欲といっしょで満たされたときに快感があります。しかし、逆に便秘で苦しんでいる人もいます。昔から食物繊維は便秘の予防になることが知られていました。戦後すぐ、食物繊維の摂取量は30グラム以上あったのが現在は25グラム前後と言われています。これだけの問題なら繊維質も脚光を浴びなかったでしょう。
 1972年、アフリカを中心に調査していたD.P.バーキット博士は色々な国の人の排便量を調べて報告しています。例えば、アフリカのウガンダの農村では最高980グラム、最低178グラムで平均は470グラムでした。一方、イギリスの海軍軍人とその妻は最高223グラムで最低はたった39グラムでした。平均で104グラムでウガンダの農民の4分の1しかありませんでした。また、食べたものが便になるまでの時間はウガンダの農民は平均36時間なのに、イギリス軍人は83時間で2.4倍もかかっていました。彼はこの排便の研究をしているうちに、便の量が少ない人は大腸ガンが多いのではないかと考えました。世界的に大腸ガンの発生率を比較すると、欧米人で高く、日本人やアジア・アフリカ人は低いことがわかっています。その後多くの調査が行われました。その結果、大腸ガンの高い欧米は食物繊維の摂取量が少なく脂肪が多いこと、逆に大腸ガンの低い地域は食物繊維や脂肪が少ないことがわかりました。また、長期の便秘は結腸ガンになる傾向が見られています。これは発ガン物質が腸に長くとどまっているかどうかの違いではないかと考えられるようになったのです。
 この話は健康願望の強い日本人にはうってつけでした。食物繊維入りドリンク剤がヒットしたわけです。今回紹介のファイブミニは5グラムのポリデキストロースが入っています。ぶどう糖とソルビトールを数千個つなげた難消化性多糖類です。天然にあるものではありません。これを厚生省は食品として許可しましたがどう考えても食品添加物です。なぜなら食品としての条件を備えていないのです。一応、食べ物というのは病人にとっても健康人にとっても必要なものです。この繊維はイギリスの海軍さんの家庭では歓迎されるかもしれませんが、ウガンダの農家ではそれでなくても繊維の多い栄養価の低い食事で四苦八苦しているわけです。ここにファイブミニを持っていったら張り飛ばされてしまいます。それでなくったって便が多くて困ってるのですから。このポリデキストロースは人の消化酵素では分解できませんが、腸にいる細菌は分解します。ですから、繊維として効果は75%(3.75グラム)です。まあ、これを飲んだからといってガン予防になるとは考えられません。一種の気休めでしょうか。重要なのはあなたが食物から摂っているトータルの繊維です。干しいたけ1枚の繊維量は4グラム以上、枝豆を小鉢一つ食べると10グラム以上の繊維量になります。少なくなったと言っても日本人の食事に繊維は多いのです。5グラムを110円で買うのが高いか安いかあなたの価値観しだいですが、あまりよくない価値観ですね。

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